いってらっしゃい

先週の金曜日、私のとても大好きな友達が外国へ旅立った。
彼女はおととしの秋から一年間留学していて、
ボランティアをしながら、やりたい仕事を見つけ、とても充実していた。
本気でその仕事をしようと向こうに住む決心をしたのは、去年の春ごろだったかな。
信頼できる恋人も出来た彼女には、迷いと同じぐらいの支えがあるのだろう。
いっぱいいっぱい考えて悩んだんだろうけど、
好きな国で、好きな人と暮らして、好きな仕事を出来るなんて、
そんな素晴らしいことはない。

ただ私はとてもワガママなので、
彼女が向こうに住んでしまって、日本がホームでなくなることが、
すごく淋しい。

泣き笑いの表情でゲートに入るあの子を見ても実感が沸かなかった。
ただ帰りのバスの中でふと、気が向いたときに部屋に行ったり、
夜中よっぱらって自転車二人乗りで坂道をノンブレーキで下ったり、
食べ過ぎて動けなくなって黙り込んだり、
酔っ払って変なこと話したり、
なんてことない時間を共にすることがなくなるんだな、
と思うと、急激に淋しくなった。
彼女の笑顔は温かくて、やわらかくて、いつもそばにあったような気がするので、
日常だった彼女に、これからは約束を取り付けて会うというのが変な感じがする。

だけど、彼女の未来を思い浮かべると、
どう考えてみても、恋人と一緒に向こうで笑っているので、
さみしさも吹き飛んでしまう。
どうか、どうか、幸せになってほしい。